映画公開当初、映画ファンや批評家の間では「トップアイドルのプロモーション映画に終わるのではないか」という懸念が一部にありました。しかし、映画館のスクリーンに映し出されたのは、従来の“まいやん”という偶像を粉々に打ち砕く白石麻衣の鬼気迫る熱演でした。
メガホンを取ったのは『リング』『仄暗い水の底から』などで知られるJホラーの巨匠・中田秀夫監督です。監督は白石麻衣に対して「アイドルの顔を捨ててくれ」と要求し、恐怖に怯える表情、息を乱したパニック状態、拘束された状態での絶叫など、一切の妥協を許さない演技指導を行いました。
撮影現場では、冷たいコンクリートの上で長時間拘束されるハードな撮影や、泥まみれになりながら床を這うシーンをスタントなしで熱演。涙と汗でメイクが完全に崩れ、白目を剥かんばかりの表情で絶望を表現したシーンは、試写会直後から映画関係者の度肝を抜きました。彼女の覚悟に満ちた姿勢が、本作のサスペンス映画としての完成度を一段上の水準へと引き上げた要因です。
話題を呼んだ千葉雄大とのキスシーンとラブストーリーの真実
サスペンスとしての恐怖描写と対をなす重要な見どころが、千葉雄大演じる加賀谷と美乃里の恋愛模様です。乃木坂46の絶対的エースとして長年スキャンダル無縁を貫いてきた白石麻衣にとって、劇中で描かれたキスシーンは公開当時、ファンの間でも大きな衝撃をもって迎えられました。
しかし、このシーンは決して安易なサービスカットではなく、トラウマを抱えて他者と深く繋がれなかった加賀谷が美乃里の無償の愛を受け入れ、2人が真のパートナーとして結ばれる物語上の必然的な到達点でした。抑制されたトーンの中で演じられたからこそ、観客に強いカタルシスと切なさを残す名場面として高く評価されています。