「巻きつくならどちらの向きでも構わないだろう」と人間側の都合で時計回り(逆巻き)に支柱へ巻きつけ、ビニタイなどで強固に縛り付ける行為は、植物にとって致命傷となります。
自然界の摂理に反して逆巻きに固定された朝顔は、遺伝子レベルで組み込まれた反時計回りの回旋運動を止めることができません。無理に逆方向へ固定されると、つる自身が本来の方向へ戻ろうとして激しいねじれ応力を生み出します。この強い摩擦とねじれによって、植物の生命線である「維管束(水分を吸い上げる道管と栄養を巡らせる篩管)」が圧迫され、物理的に組織が潰れてしまうのです。
維管束が傷つくと、根から吸い上げた水分が生長点まで届かなくなり、数日のうちに先端が黒ずんで生長が停止します。最悪の場合、そこから雑菌が侵入して茎全体が腐敗し、株ごと枯死するケースも珍しくありません。「向きを間違えただけで枯れるわけがない」という油断が、夏休みの観察日記やベランダ緑化を失敗させる最大の落とし穴となっています。