血液型を語る上で、ABO式以上に臨床医療現場でシビアに扱われるのが「Rh因子(プラス/マイナス)」の存在です。赤血球膜にあるD抗原の有無で判定されますが、この比率格差は国際移動が常態化した現代において、重大な医療リスクに直結しています。
日本国内におけるRhマイナスの割合はわずか約0.5%(200人に1人)にとどまります。国内の病院や血液センターでは、Rhマイナスの血液は常に厳格な在庫管理とドナー確保の対象です。
ところが、白人系欧米諸国におけるRhマイナスの割合は約15%(およそ6〜7人に1人)にものぼります。フランスやスペインの国境地帯に住むバスク人に至っては、約30%以上がRhマイナスという驚くべき調査結果も存在します。彼らの社会ではRhマイナスは「珍しい型」ではなく、ごく日常的な医療的前提として扱われています。
このデータが示す実践的な教訓は、国際医療における需給ギャップです。日本人が欧米で大怪我を負った場合、輸血用血液の確保に困るリスクは比較的低い一方、欧米人が日本を旅行中に緊急輸血が必要となった場合、Rhマイナスの製剤確保が大きな課題になり得ます。国際医療搬送の現場医師らは、こうした地域的な血液備蓄特性を常に計算に入れながら救護にあたっています。