桑田佳祐氏の闘病を語る上で欠かせないのが、妻でありサザンオールスターズのキーボーディストでもある原由子氏の献身です。公の特番インタビューや当時の手記において、桑田氏本人が「女房がいなければ、今の自分はいなかった」と率直に感謝を口にしています。
桑田氏自身はもともと病院嫌いで、検査を後回しにしがちな性格でした。しかし、原由子氏が強く受診を勧め、定期的な人間ドックの内視鏡検査を毎年受けるよう手配していたことが、早期発見という決定打を生み出しました。もし受診が半年でも遅れていれば、がんが筋肉層を破り、声帯温存手術どころか命の危機に直面していた可能性は極めて高かったといえます。
入院中、胃管再建手術を受けた患者が必ず直面するのが「ダンピング症候群」や逆流性食道炎です。胃が本来の容量より大幅に小さくなり、食道と直結するため、一度に多くの食べ物を摂取できず、食後の激しい倦怠感やめまい、胸やけに悩まされます。原由子氏は退院後、1日の食事を5〜6回に分けて少量ずつ栄養を摂取できるよう細やかな食事管理を徹底し、桑田氏の体力回復を支え続けました。
ファンの間でも「桑田さんを信じて待つ」という連帯感がSNSを中心に広がり、千羽鶴や励ましのメッセージが所属事務所アミューズへと殺到しました。ファンコミュニティの過度な憶測を排除し、事実を正確に伝えた事務所側の広報戦略と、家族による盤石の生活サポートが、病魔に立ち向かう桑田氏の強靭なメンタリティを育んだのです。