動物病院で治療を受ける際、飼い主にとって最大の関門となるのが経済的負担です。ペット保険各社の支払実績データや全国の動物病院診療費調査を俯瞰すると、口腔外科処置は自由診療ゆえに施設ごとの価格差が極めて大きい現実が浮き彫りになります。基本となる猫の歯石除去と抜歯手術の進行ステージ別費用と内訳をまとめました。
現場取材において多くの獣医師が口を揃えるのは、「初期の処置をためらった結果、数年後に3〜4倍の費用を払うことになる飼い主が後を絶たない」という現実です。猫の歯周病治療費の相場は一見すると高額に映りますが、先送りにすればするほど、抜歯本数と麻酔時間の増加に伴って手術代、検査代、入院費が雪だるま式に膨れ上がります。
また、手術を検討する飼い主の最大の心理的障壁となるのが猫の歯周病全身麻酔のリスクです。「高齢だから麻酔に耐えられないのではないか」という不安は根強く存在します。しかし、現代の獣医麻酔学では、事前の生化学検査、心エコー、血液ガス分析による個別化された麻酔プロトコルが確立されています。米国動物病院協会(AAHA)のガイドラインでも、重度の歯周病がもたらす慢性炎症と内臓障害のリスクは、管理された全身麻酔の偶発リスク(一般に0.1%未満)をはるかに上回ると指摘されています。