そんな国民的女優が世間を大きく揺るがしたのが、2015年8月の結婚劇でした。お相手の山本耕史さんとは、2009年のドラマ『アタシんちの男子』での共演を機に出会い、2015年の舞台『嵐が丘』での共演を経て急速に距離を縮めました。
当時、大きな話題を呼んだのが山本さんによる猛烈なアプローチです。舞台期間中に堀北さんへ送った手紙は実に約40通に及び、彼女が京都へ向かう新幹線を勘づいて指輪を持って乗り込んだというエピソードは、いわゆる「交際0日婚」の伝説として今も語り草となっています。情熱的な山本さんの熱意と真摯な人間性が、警戒心の強かった堀北さんの頑なな心の扉を開いた瞬間でした。
そして2017年2月28日、所属事務所との契約満了をもって発表された突然の芸能界引退。当時28歳という、女優として最も脂が乗り切る時期での決断は世間に大きな衝撃を与えました。一部メディアでは様々な憶測が飛び交いましたが、引退理由の真相は彼女自身が直筆メッセージで綴った言葉通りでした。
「現在私は母になり、愛する家族と幸せな日々を送っています。このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守り続けたい」
幼少期から家族を大切にし、自身の家庭を持つことに強い憧れを抱いていた彼女にとって、仕事と子育ての両立という妥協ではなく、「母として家族の生活に100%注力する」という選択は極めて自然な決断でした。昭和の大スター・山口百恵さんを彷彿とさせる潔い引き際は、彼女の揺るぎない覚悟を物語っています。