『ドラゴン桜』を語る上で欠かせないのが、長澤まさみと新垣結衣という、日本のエンターテインメント界を牽引するトップ女優2人の関係性です。2005年の初代シリーズ以降、二人が同一のドラマや映画で共演した事例は一度も存在しませんでした。そのためインターネット上では長年にわたり、「事務所同士のライバル関係による共演NGなのではないか」「不仲説があるのではないか」といった根拠のない憶測が飛び交い続けていました。
しかし、2021年の第2シリーズ最終回で見せた二人の自然な掛け合いは、そうしたネット上の都市伝説を一撃で霧散させました。東大専科の生徒たちを精神的に支える先輩として、水野直美(長澤まさみ)と香坂よしの(新垣結衣)が視線を交わし、微笑み合う共演シーンは、16年という月日を互いに第一線で戦い抜いてきた表現者同士のリスペクトに満ちていました。
コラムニストの堀井憲一郎氏をはじめとする複数の劇評家が指摘するように、長澤まさみと新垣結衣は同世代でありながら、歩んできたキャリアのアプローチが全く異なります。長澤まさみが若くして映画賞を総なめにし、本格派演技派として王道を歩んだのに対し、新垣結衣はモデルからスタートし、CMやラブコメディで圧倒的な大衆的支持を獲得しながら着実に演技の裾野を広げていきました。この対照的な二人が『ドラゴン桜』という同一の母港から旅立ち、16年後に再び同じ港で邂逅した構図こそが、視聴者の琴線を激しく揺さぶったのです。