既婚者でありながら妻に内緒で即売会へと足を運ぶ男性たちの胸中には、単なる「推しへの情熱」だけでは片付けられない複雑な葛藤が存在します。民間リサーチ会社が実施した既婚オタク層への調査データによると、配偶者に隠れてオタ活や同人イベント参加を行った経験がある男性は全体の約34.2%に上ります。およそ3人に1人が、何らかの隠蔽工作を行っている計算です。
彼らが口を揃えるのは、「最初から打ち明ければ猛反対されるのが目に見えている」という諦めです。特にコミケをはじめとする大規模イベントは、早朝からの出陣や混雑、さらには数万円単位の出費を伴うケースが珍しくありません。家計や育児を共に担うパートナーからすれば、「家庭を放置して散財している」と受け取られかねない活動です。こうした衝突を避けるため、「波風を立てずに一日だけやり過ごしたい」という短絡的な回避行動が、オタク夫の秘密を生み出す土壌となっています。
しかし、この「波風を立てたくない」という動機こそが、のちに致命的な亀裂を生む火種となります。妻側から見れば、事前の相談もなく秘密裏に行動されること自体が、パートナーシップにおける信義誠実の原則に対する重大な裏切りにほかならないからです。