かつて多くの美食家を迎えたオテル・ドゥ・ミクニの跡地(東京都新宿区若葉1丁目)は、閉店後に長年親しまれた洋館の解体工事が行われ、一時的に更地となりました。閑静な邸宅街の一角にぽっかりと空いた空間を前に、足を止めて往時を偲ぶ往年のファンの姿が近隣住民によって度々目撃されています。
ファンの間で最も関心を集めているのが、オテル・ドゥ・ミクニの再オープンに向けたスケジュールの動向です。当初のアナウンスでは、シェフが70歳を迎える「2024年秋頃のオープン」が目標として掲げられていました。しかし、2026年現在の取材および現地状況を確認すると、プロジェクトは極めて慎重かつ徹底的なこだわりを持って進められています。
リニューアルスケジュールの推移において、建設業界全体を直撃した建築資材の高騰や特殊な建材の調達遅延、さらには職人の手配といった構造的課題が影響を与えたことは否めません。しかし、関係者の証言によると、工期の調整が生じた最大の理由は「三國シェフ自身が厨房のミリ単位の動線や音響、客席からの視線角度に至るまで一切の妥協を拒んだこと」にあります。
現在進められているオテル・ドゥ・ミクニのリニューアル計画は、単なるレストランの建て替えの域を完全に超えています。三國氏の料理哲学を後世に残すためのアーカイブ機能を兼ね備え、環境負荷を極限まで減らした最新鋭の厨房設計が取り入れられています。工事は着実に工程を進めており、世界中のフーディーが待ち望む「新章の幕開け」に向けたカウントダウンは、いよいよ最終段階へと差し掛かっています。