ゴンの覚醒を語る上で欠かせないのが、キメラアント編を通じて描かれたゴンの精神的崩壊プロセスです。自らの未熟さゆえに恩師であり父親の弟子でもあるカイトを死なせてしまったという深い自責の念が、物語の序盤からゴンの心をじわじわと蝕んでいました。
討伐軍としてペイジンへ乗り込んだゴンは、「ピトーの能力でカイトを元に戻せる」というわずかな希望にすがっていました。しかし、コムギの治療を終えたピトーから告げられたのは、「あいつはもう死んでいる」「治せない」という冷酷な現実でした。
さらに、先ほどまでコムギの命を守ろうと懇願していたピトーが、役目を終えた瞬間に「王のためにゴンを殺す」と冷淡な殺意を露わにしたことで、ゴンの精神は完全に破綻を迎えます。絶望、怒り、そして取り返しのつかない罪悪感が限界を超えた瞬間、ゴンは自らの未来と命のすべてを投げ打つ決断を下しました。