彼女のキャリアを語る上で欠かせないのが、大ヒット時代劇『善徳女王』で見せた圧巻の演技である。王室の権力闘争と愛憎が渦巻く壮大なドラマの中で、彼女が演じた摩耶(マヤ)夫人は、過酷な運命に翻弄されながらも母性としての強靭な意志を失わない気品に満ちていた。
宮廷の厳格な礼法と、我が子を奪われた母としての激しい慟哭。静と動を完璧にコントロールしたその立ち居振る舞いは、時代劇というジャンルにおける助演女優の重要性を改めて世に知らしめた。歴史の荒波に耐える女性の佇まいを、彼女は声のトーンひとつで表現してみせたのである。