豊かな食の都として名高いエミリア=ロマーニャ州の州都ボローニャ。この街の厨房で生み出された伝統の煮込み技法は、数百年もの時を経て磨かれてきた。19世紀後半、近代イタリア料理の父と称されるペッレグリーノ・アルトゥージが著した食術書によって、それまで地域限定の郷土料理だった肉の煮込みは一気に全国区へと躍進する。
肉を細かく刻み、香味野菜とともにじっくりと火を入れる工程。それは単なる調理作業ではなく、土地の風土や歴史を煮詰める儀式に近い。イタリア料理界において、このソースは自国の誇りであり、各家庭やレストランが代々受け継ぐアイデンティティそのものと言えるのだ。