チアミン単体では水溶性であるため、一度に大量摂取しても体内に蓄積できず、余剰分は数時間で尿中へと排出されてしまう。この生化学的な弱点を克服する裏技が、アリシン(硫化アリル)とのコンビネーションだ。
ニンニク、タマネギ、ニラ、長ネギなどに豊富に含まれるアリシンは、豚肉のビタミンB1と結びつくことで「アリチアミン」という脂溶性の結合体に変化する。このアリチアミンに変わることで腸管からの吸収率が飛躍的に高まり、血中濃度が長時間にわたって維持される。つまり、疲労回復効果が桁違いに持続するのだ。
豚肉の生姜焼きにタマネギをたっぷり加える、豚ヒレ肉をガーリックソテーにする、あるいは豚しゃぶにニラダレを合わせる。これらは日本の食卓が長年培ってきた経験則であると同時に、分子レベルで計算し尽くされた極めて合理的な栄養戦略なのである。