現在、テレビ制作の最前線では「過去のデジタルフットプリント」に対する恐れが蔓延している。2020年代半ばに入り、生成AIを活用した過去映像・記事の自動解析技術が一般化すると、ネットユーザー、いわゆる「特定班」による過去のイベント映像やパンフレットの掘り起こしが飛躍的に容易になった。
ある大手制作会社のプロデューサーは漏らす。「15年前の地方イベントの登壇写真が一枚ネットにアップされるだけで、CM差し替えと番組への苦情電話が何千件も殺到する。リスク回避のため、少しでも怪しい噂がある人物は最初から企画書に乗せない。これが今のテレビ界の暗黙の了解だ」。事態はそう単純ではない。この徹底した排除論理が、表現の場を奪う結果にもなっている。