この名店を語る上で絶対に外せないのが、3代にわたる名物店主たちの個性豊かなドラマだ。創業者のA.M.ナイル氏は、インド独立運動家としても歴史に名を刻む異色の人物。日本とインドの架け橋となるべくこの地でレストランを開業し、その情熱が店の強固な礎となった。
その志を受け継ぎ、2代目店主として親しまれたG.M.ナイル氏は、類稀なるキャラクターとメディアでの快活なトークで全国的な有名人となった。フロアを動き回り、訪れた客に「混ざ混ざして食べてね!」と声をかける姿は、銀座の名物風景として今も人々の記憶に刻まれている。そして現在、3代目として厨房を取り仕切るのがナイル善己氏だ。彼は本場インドでの修行を経て、伝統の味を守りながらも南インド料理の技法や現代的なアプローチを融合させ、店の価値をさらなる高みへと引き上げている。