今や世界的なヒットメーカーとしてアニメーション界を牽引する映画監督、新海誠。彼の輝かしいキャリアの原点を辿ると、必ずこの小さな劇場へと行き着く。1999年に開館した短編映画館トリウッドは、まだ商業流通に乗りにくかった短編作品にスポットライトを当てる挑戦的なスペースとして産声を上げた。
当時、ゲーム会社に勤務しながら一人でコツコツと映像を制作していた無名の青年が持ち込んだ作品こそ、彼の自主制作アニメーションの第一歩となった『彼女と彼女の猫』だった。モノクロの美しい静謐さと叙情的な語り口は、観た者の口コミによってじわじわと広がり、劇場の歴史に最初の鮮烈な足跡を刻んだ。