元陸軍兵・杉元佐一を演じた山﨑賢人は、まさに作品の精神的支柱だ。数々の実写化作品で主演を張ってきた彼だが、本作で見せた血と泥に塗れた肉体美と鋭い眼光、そして内面に秘めた戦争の傷痕と優しさは、これまでのキャリアでも異彩を放つ。「不死身の杉元」と呼ばれる凄惨なアクションシーンに耐えうるため、壮絶なトレーニングを重ねて作り上げた体躯は圧巻の一言。命がけのバトルと「ヒンナ」と微笑む日常シーンのギャップを見事に演じ分けた。
対するアイヌの少女・アシリパ役の山田杏奈の存在感も際立つ。野生味あふれる凛とした佇まいと、原作の名物である豊かな変顔バリエーションを完璧に消化。年齢的なハードルや文化的な背景という難しい役どころに対し、北海道の厳しい自然と真摯に向き合うことで、杉元との相棒関係に圧倒的な説得力を与えている。二人の間で交わされる信頼とコミカルな掛け合いは、激しい抗争の中で確かな光をもたらす。