本作のテーマとなるのは、息をのむような緊迫感で描かれるサスペンスドラマでありながら、人間の泥臭い情感に迫る質の高いヒューマンドラマだ。一見相反する二つの要素を融合させる手腕こそ、彼女の真骨頂と言える。
登場人物たちが抱える過去の秘密、そして複雑に入り組む人間関係。事件の謎を追うミステリーの快感と、極限状態に置かれた人間の心理描写が重なり合い、観る者を片時も画面から目を離させない。重厚なテーマ性とエンターテインメント性を兼ね備えたストーリーラインに、試写を観たごく一部の関係者からは溜息が漏れたという。