関西や九州では、鶏肉全般を「かしわ」と呼ぶ風習がある。元々は羽色が柏の葉の紅葉に似ている日本在来の地鶏に由来する言葉だが、この料理における本質は単なる呼び名にとどまらない。一般的な若鶏(ブロイラー)ではなく、しっかりと運動して育った「親鶏(ヒネ鶏)」の肉を好んで使う点にこそ、圧倒的な味わいの秘密が隠されている。
親鶏の肉質は固く引き締まっており、若鶏のような柔らかさはない。しかし、噛めば噛むほど滲み出る濃密なエキスと、皮から溢れ出る上質な鶏油(チーユ)は、若鶏では逆立ちしても表現できない力強い存在感を放つ。ささがきにしたゴボウの力強い土の香りと親鶏の脂が絡み合うことで、互いの魅力を引き出し合う奇跡的な相乗効果が完成するのだ。