なぜ校正プロセスでこの異常な誤植が見過ごされてしまったのか。その答えは、当時のゲーム出版業界が抱えていた想像を絶する多忙さにあった。月刊誌でありながら、最新アーケードゲームの稼働にあわせて突発的な増刊や別冊が乱発され、現場のスタッフは連日連夜の徹夜作業を強いられていた。
当時の編集室にはPCの自動校正システムなど存在しない。原稿用紙に手書きされた文字を、タイピストが写し取り、印刷用の版組を行うというアナログな工程が主流だった。「ハンドル」の「ハン」が「イン」に、「ドル」が「ド人」に誤読されたまま校正紙が出力され、極限状態の編集部員も「コース取りの専門用語か何かだろう」とスルーしてしまったという噂すら囁かれている。