日本人の英語学習者が陥りがちなもう一つの落とし穴が、「過剰な丁寧さ」である。教科書通りに覚えた「Could you possibly please...」といった婉曲表現を連発することが、思わぬ誤解を招く事態が増えている。
外資系金融機関の採用担当者は語る。「日本人候補者の多くは非常に礼儀正しく、洗練された構文を使おうと努力します。しかし、スピード感が重視される現在のビジネスシーンでは、回りくどい表現は『意志が弱い』『自信がない』と否定的に捉えられがちです」。
相手に配慮しようとするあまり組み立てた複雑な長文が、かえってメッセージの核心をぼやけさせ、コミュニケーションの難易度を自ら上げてしまっているのだ。シンプルに「No」と言えず、曖昧な言い回しで逃げようとすることこそが、交渉を泥沼化させる最大の要因となっている。