「声に出して読むことは、他者への想像力を取り戻す行為でもある」。元NHKアナウンス室長・山根基世の現在に迫ると、彼女の関心が一層深く「声と人間の結びつき」へと向けられていることがわかる。名ナレーションに隠された技術と独自の朗読論、そしていま精力的に進める最新プロジェクトの全貌には、混迷する時代を生きる私たちへの強いメッセージが込められている。
彼女が明かす独自の朗読論において核心となるのは、「相手の呼吸を聴く」というアプローチだ。原稿をただ音にするのではなく、向かい合う相手の心拍や部屋の空気に波長を合わせる。現在展開しているプロジェクトでは、世代を超えた対話と朗読ワークショップを軸に、孤立しがちな現代人の「声を通じたつながり」を再構築する取り組みを全国で加速させている。言葉のプロが明かす現場の秘話や今後の展望に触れると、声という原始的なメディアが持つ無限の治癒力に改めて気づかされる。