映画『国宝』喜久雄のモデルは誰か?坂東玉三郎との共通点と真相

映画『国宝』喜久雄のモデルは誰か?坂東玉三郎との共通点と真相

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小説『国宝』が単なる芸能スキャンダルやファンタジーに堕ちず、重厚な芸道小説の金字塔となった背景には、吉田修一による徹底的な現地取材がある。執筆にあたり、吉田は松竹の全面協力を得て、歌舞伎座の楽屋裏や稽古場に3年間通い詰めたという。

化粧の匂い、衣裳の重み、床を踏む足音、そして役者同士が交わす視線の鋭さ。吉田自身は特定のモデルについて明言を避け、「歌舞伎という巨大な魔物に魅入られた人間たちのエネルギーを描きたかった」と語っている。しかし、彼が取材を通じて接した歌舞伎俳優たちの肉声、名題下の役者たちの焦燥、大名跡を背負う重圧といったリアルな空気感が、立花喜久雄やライバルの大垣俊介というキャラクターに血肉を与えたのは紛れもない事実だ。

複数の名優のエピソードを解体し、小説という器の中で再構築する。その練達の筆致があったからこそ、喜久雄はあたかも実在したかのような圧倒的な実在感を獲得した。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。