大阪特産品としての真骨頂を味わうなら、泉州伝統のぬか漬けに勝るものはありません。大阪府岸和田市で慶応3年(1867年)に創業した老舗「南宗味噌株式会社」など、泉州地域の醸造元や名工たちが150年以上にわたり受け継いできたぬか漬けには、科学的に裏付けられた幾つもの知恵が凝縮されています。
南宗味噌の本店に併設された飲食スペース「なんそうさんのCafe」等でも提供される本場の水ナス漬は、ぬか床の乳酸発酵の力でナスの甘みを極限まで引き出しています。家庭でぬか漬けのコツを再現する際は、以下の3要素を徹底してください。
第一に、「塩すり」の力加減です。水ナスの表面に少量の粗塩を当て、まな板の上で手のひらを使って軽く転がす「板ずり」を行います。皮の硬いクチクラ層に微細な傷をつけることで、ぬか床の乳酸菌と塩分が短時間で均一に浸透し、皮の色素(ナスニン)が鮮やかに固定されます。
第二に、「丸ごと漬け」の鉄則です。浅漬けとは異なり、ぬか漬けは果肉を空気に一切触れさせないよう、割かずに丸ごとの状態でぬか床の奥深くに埋め込みます。漬け時間は室温20℃前後で約12時間〜18時間、冷蔵庫野菜室であれば24時間程度が食べ頃です。食べる直前に初めて冷水でぬかを洗い流し、手で一口大に割いて食卓へ出すのが、泉州に古くから伝わる最も贅沢な作法です。