伊古部海岸を訪れる旅行者が最も直面しやすい現実的な障壁が、現地の駐車環境とアクセスルートの狭さです。伊古部海岸のメイン駐車スペースは海岸広場に隣接しており、約30〜40台が駐車可能な無料スペースと公衆トイレ、簡易的な足洗い場が整備されています。
一見十分なキャパシティに思えますが、現場取材と利用者の声から浮かび上がるのは激しい需給の偏りです。伊古部海岸は古くから全国有数のサーフィンスポットとして知られ、波のコンディションが良い日には夜明け前からサーファーの車両で駐車枠が瞬く間に埋まります。さらに近年は「遠州灘から昇る美しい日の出」を目的に訪れる写真愛好家も増えており、週末の午前5時〜7時頃には満車に近い状態に達することが珍しくありません。一般の観光やモニュメント撮影を目的とする場合、サーファーの第一陣が引き揚げる午前9時〜10時以降、あるいは正午前後を狙うのがスムーズに駐車するための現実的な攻略法です。
また、アプローチ経路にも注意が求められます。主要幹線である国道42号(表浜街道)から伊古部海岸へ向かう分岐路は、のどかなキャベツ畑や農業用ハウスの間を縫うように延びていますが、海岸に近づくにつれて道幅が急激に狭小化します。大型ミニバンやSUVでの進入時に対向車と鉢合わせると、どちらかが待避所まで長い距離をバック走行しなければならない場面が頻発しています。運転に不慣れなドライバーは、手前の案内標識を見落とさず、速度を十分に落として離合スペースを確認しながら進行する慎重さが不可欠です。なお、公共交通機関でのアクセスは豊橋駅から路線バスが出ているものの、最寄り停留所から海までは徒歩で20分以上のアップダウンを伴うため、実質的には自家用車やレンタカー、タクシーの利用が現実的な選択肢となります。