額面約31億円という天文学的な響きに誰もが羨望の眼差しを向けますが、現実の課税システムは容赦なく牙を剥きます。メジャーリーガーの単年年俸2000万ドルをモデルケースに、米国における所得税控除のプロセスを紐解いてみましょう。
米国で所得を得る場合、まず課されるのが連邦所得税の最高税率37%です。これに加え、所属球団の本拠地によって異なる州所得税が重くのしかかります。例えば、大谷翔平選手や山本由伸投手が所属するロサンゼルス・ドジャースのようにカリフォルニア州を拠点とする場合、州税の最高税率13.3%が上乗せされます。
さらに見落とせないのが、通称「Jock Tax(アスリート税)」と呼ばれる遠征先各州での課税システムです。敵地で試合を行うたびにその自治体へ納税義務が発生するため、遠征スケジュールの管理と税務申告は極めて複雑を極めます。これらに連邦医療保険税(メディケア税約2.35%)、代理人に支払うエージェント手数料(通例3〜5%)が差し引かれます。
シミュレーションを行うと、額面2000万ドルから控除される金額の内訳は次のようになります。
- 連邦所得税(約37%):約740万ドル
- 州所得税・Jock Tax(約10〜13%):約220万ドル
- エージェントフィーおよび弁護士費用(約5%):約100万ドル
- メディケア税およびその他公的控除(約2.5%):約50万ドル
これらを合算すると、差し引かれる総額は実に1,110万ドル(約17億4,000万円)を超え、手元に残る最終手取り額は約890万ドル(約14億円)前後に留まります。率にして約44.5%。どれほど華々しく報道されても、手元に残るのは額面の半分以下という冷徹な現実が存在します。