東京コミックショウの現在と真相|伝説の蛇使い芸と夫婦が遺した軌跡

東京コミックショウの現在と真相|伝説の蛇使い芸と夫婦が遺した軌跡

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あの強烈なネタはどのようにして形作られたのか。そこには、戦後日本の過酷なエンターテインメント事情と、徹底した生存戦略があった。

ショパン猪狩氏の兄は、伝説的ボードビリアンでありストリップ劇場の名物司会者としても知られたパン猪狩(猪狩文三)氏だ。兄が率いていた「パン猪狩と東京コミックショウ」の流れを汲み、ショパン猪狩氏も当初はジャズギタリストとして米軍キャンプの慰問演奏などを行っていた。

言葉が通じないアメリカ兵を前にしたとき、通常の日本語による漫才やコントは一切通用しない。そこでショパン猪狩氏が研ぎ澄ませたのが、「動きと音だけで爆笑を奪うノンバーバル(非言語)コメディ」の技法だった。チャルメラのような笛の音、誰もが知る蛇使いのパロディ、そしてカタカナ混じりの片言英語による絶妙なコール。この計算し尽くされたフォーマットこそが「レッドスネーク、カモン!」の原型である。

この研ぎ澄まされたビジュアル芸は国内の寄席や日劇ミュージックホールで爆発的な支持を集めただけでなく、海を越えて評価された。1960年代には、ビートルズやエルヴィス・プレスリーも出演したアメリカの国民的怪物番組『エド・サリヴァン・ショー』に出演という、当時の日本人芸人としては歴史的快挙を成し遂げている。ただのコミック芸ではなく、世界水準のシアトリカル・コメディとして認められていた証拠だ。

森 瞳
著者

森 瞳

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