式場運営の最前線では、香典袋の形状についてどのような事態が起きているのでしょうか。東京都内で総合斎場を統括する関係者や大手冠婚葬祭互助会の受付担当者の証言からは、教科書的なマナー本とは一線を画す実務のリアルが浮き彫りになります。
都内の大手斎場(東京博善系列など)で幾度となく受付係を担ってきたベテランスタッフは、現場の集計作業について次のように打ち明けます。
「通夜や告別式の開式前、受付は短時間に数百万円もの現金を処理し、参列者名簿と金額を照合しなければなりません。水引が頑丈に結ばれた本格的な多当折りの袋は、水引を外して、外袋を開いて、中袋から紙幣を取り出し、元通りに畳んで水引を戻すという膨大な工程が発生します。一方で、中袋なしの封筒タイプは上部を開けるだけで即座にお札を確認でき、裏面に住所と金額が直書されているため、事務的なミスが極めて起きにくいのです。受付側の本音としては、1万円以下のご香典であれば中袋なしの封筒タイプの方が圧倒的にありがたいのが実情です」
また、香典袋の外袋のみの折り方マナーと封閉じに関しても、現場で非常に多い誤解があります。封筒上部のベロ(フタ)に両面テープがついていたり、のり付けすべきか迷う参列者が多く見られますが、葬儀の香典袋は原則としてのり付けしません。
受付で開封して金額をその場で確認する地域が多いため、ガチガチにのり付けされていると封筒を破らざるを得ず、遺族側が後で住所を確認する際に破片で文字が読めなくなるトラブルに発展します。フタを折るだけで十分であり、もしフタが浮いて気になる場合や郵送で送る場合のみ、軽くのり付けした上で中央に封印の印として「〆」または「封」と記します。
さらに、多当折り(外袋のみ)の場合の背面処理については、「上側の折り返しを、下側の折り返しの上に被せる」のが厳格な弔事ルールです。これは「涙や悲しみを下へ流す」という仏教・民俗学的な意味を持ち、下側を上へ被せる慶事(喜びを受け止める)の折り方と逆転させないよう細心の注意が払われています。