園内の一角に厳かに鎮座するのが「出水神社(いずみじんじゃ)」である。西南戦争によって焦土と化した熊本の地で、旧藩士たちが細川家の歴代藩主を祀り、人心の復興を祈願して1878(明治11)年に創建した。
社殿のそばには、阿蘇火山脈から湧き出る「長寿の水」が引かれており、御神水として参拝者に親しまれている。一口含むとまろやかな甘みが広がり、古くから無病息災を願う人々の信仰を集めてきた。
水前寺公園は1929(昭和4)年に国指定名勝・史跡に指定され、その文化的・歴史的価値は国の内外で高く評価されている。武家の誇りと庶民の信仰、そして近代の復興の祈りがひとつの庭園の中に共存している点こそ、この場所の稀有な魅力といえる。