現在、主要な配信サービス(U-NEXT、Netflix、Amazonプライムビデオなど)では、かつてミニシアター系に限られていた女性同士の恋愛を描いた名作が目白押しとなっています。その中でも、単なる消費にとどまらない圧倒的な芸術性と批評性を備えた必見タイトルを厳選して解説します。
1. 『燃ゆる女の肖像』(Portrait of a Lady on Fire)
- 監督:セリーヌ・シアマ
- 主な配信先:U-NEXT、Amazonプライムビデオ(見放題またはレンタル)
- 見どころ:18世紀末のフランスを舞台に、望まぬ結婚を控える貴族の娘と、彼女の肖像画を描く女性画家の息詰まる恋情を描いた歴史的傑作。作中から徹底的に男性の存在を排除し、「見る者と見られる者」の対等な視線の交差を通じて、女性の主体性を圧倒的な映像美で描き切りました。カンヌ国際映画祭脚本賞・クィアパルム賞を受賞した、映画史の教科書に刻まれる一作です。
2. 『キャロル』(Carol)
- 監督:トッド・ヘインズ
- 主な配信先:U-NEXT、Netflix、各種レンタル
- 見どころ:パトリシア・ハイスミスの自伝的小説を名匠トッド・ヘインズが映画化。1950年代のニューヨークで、離婚訴訟中の気品ある人妻キャロル(ケイト・ブランシェット)と、写真家を夢見る百貨店店員テレーズ(ルーニー・マーラ)が惹かれ合います。同性愛が精神疾患とみなされていた過酷な時代背景の中、毛皮のコート越しに触れ合う指先の微細な感情描写が息を呑むほど官能的です。
3. 『ボトムス 〜最底辺の私たち〜』(Bottoms)
- 監督:エマ・セリグマン
- 主な配信先:Amazonプライムビデオ
- 見どころ:シリアスな文脈を鮮やかに裏切る、痛快無比なクィア・スクールコメディの金字塔。意中のチアリーダーと親しくなりたい一心で、校内に「女子のための自衛ファイトクラブ」を立ち上げてしまう冴えない女子高生ふたりの暴走を描きます。かつての「男性目線の美少女」像を徹底的にコメディとして脱構築した、Z世代カルチャーの象徴的な快作です。
4. 海外ドラマ『キリング・イヴ/Killing Eve』
- 出演:サンドラ・オー、ジョディ・カマー
- 主な配信先:U-NEXTほか
- 見どころ:英国諜報機関の防諜職員イヴと、冷酷無比な暗殺者ヴィラネルが織りなすサイコスリラー。敵対関係でありながら、互いにしか理解できない狂気的な執着と性的引力を交錯させる演出は世界中で社会現象を巻き起こしました。単純なロマンスの枠組みを破壊し、女性同士の愛憎の極限を見せつけます。