なぜおやつの時間は3時?江戸の起源と最新科学が明かす間食の新常識

なぜおやつの時間は3時?江戸の起源と最新科学が明かす間食の新常識

なぜおやつの時間は3時?江戸の起源と最新科学が明かす間食の新常識についての真相をお届けします。

「おやつ」という言葉の語源を辿ると、江戸時代の時刻制度である不定時法に行き当たります。当時、1日を昼夜それぞれ6等分して十二支と数字で時刻を呼んでおり、現在の午後2時から4時頃を「昼八つ(ひるやつ)」と呼んでいました。

江戸時代前期までの庶民の食生活は、朝と夕の1日2食が基本でした。しかし、肉体労働を伴う町人や農民にとって、朝食から夕食までの長い間隔は極度の空腹をもたらします。そこで、作業の合間となる八つ時に軽食(小昼飯=こひるめし)を摂る習慣が根付きました。この「八つ時に食べるもの」が丁寧語化し、現代に伝わる「おやつ(御八つ)」という言葉の直接の起源となったのです。

この伝統的な生活知恵を、近代以降に「午後3時の確定的なカルチャー」へと定着させた立役者が、老舗和菓子メーカーの文明堂です。1950年代から放映されたテレビCMのキャッチコピー「カステラ一番、電話は二番、3時のおやつは文明堂」は、キャッチーなメロディとカンカンダンスを踊るクマの人形劇とともに日本中の茶の間に浸透しました。

当時の宣伝担当者が「午後3時が学校から帰宅した子どもや家事の一段落した母親にとって最もほっとできる時間帯である」ことに着目し、江戸由来の八つ時と午後のティータイムを巧みに結びつけたことで、「おやつ=午後3時」という等式が日本社会の共通認識として完成しました。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。