駿河湾フェリーの航路は、静岡県道223号清水港土肥線として正式に県道認定されています。語呂合わせの「ふじさん(223)」にちなんだ観光誘客の側面が強調されがちですが、その裏には極めて切実な交通インフラ存続の歴史が横たわっています。
かつて民間企業(エスパルスドリームフェリー)の単独運営だった当航路は、燃料油価格の高騰や利用低迷により2018年に一度撤退が表明されました。しかし、伊豆半島の防災代替ルートとしての重要性、さらには観光産業への甚大な影響を考慮し、静岡県と沿線自治体が支援する体制へ移行。2019年からは一般社団法人ふじさん駿河湾フェリーが運航を担う公設民営型の枠組みで再スタートを切った経緯があります。
つまり、現在の運賃設定は単なる民間企業の利益追求ではなく、航路維持に必要な修繕費、燃料サーチャージ、安全運航コストを行政支援と利用者の応分負担によって均衡させるための「採算ギリギリの防衛ライン」です。道路特定財源が投入される陸上道路とは異なり、船体の維持更新費用が直結する海の県道だからこそ、運賃水準には公共インフラとしての責任と経営維持の双方が反映されています。