結論から明確にしておこう。浅草の「風流お好み焼 染太郎 本店」は、2026年現在も堂々と暖簾を掲げて営業を続けている。ではなぜ、ネット上では「閉店理由」や「廃業したのか」という噂がこれほどまでに一人歩きしてしまったのか。その背景には、複合的な事情による「長期にわたる断続的な一時休業」が存在していた。
発端となったのは、2020年春以降の新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業自粛だ。歓楽街・観光地としての浅草全体が未曾有の人流減少に見舞われるなか、染太郎も休業を余儀なくされた。さらに追い打ちをかけたのが、創業から80年以上を経過した木造日本家屋の維持保全・耐震改修工事、そしてベテラン従業員の引退に伴うオペレーション再構築の問題だった。昭和12年建築の建物は、東京都内の飲食店としても極めて希少な文化財級の建造物だが、その維持には現代建築とは比較にならない手間と安全管理が求められる。
この間、事前の告知期間を長く取れないままシャッターが閉まる日が続いたこと、またGoogleマップや各種グルメサイトの営業ステータスが一時的に「臨時休業」表示となったことで、ネット上の掲示板やSNS上で「ついに染太郎が閉店した」「あの建物を取り壊すのか」という誤った憶測が急拡散したのである。その後、修繕と店内環境の整備を終えて待望の営業再開を果たしたが、一度拡散した「閉店」という検索履歴がアルゴリズムによって残り続けたことが、現在の疑問につながっている。