今年、彼が挑んだ最新の舞台は、演劇界のみならず多くの映像ファンをも震撼させた。演じたのは、一見するとどこにでもいる穏やかな老紳士。しかし、物語が進むにつれて剥がれ落ちていく仮面の下から覗く狂気は、観客の背筋を凍らせるに十分だった。大声を出すわけでも、大げさな身振りを交えるわけでもない。ただ、視線の配り方一つ、沈黙の長さ一つで、劇場の空気を完全に支配してしまうのだ。
この「静かなる狂気」こそ、彼が長年磨き上げてきた武器である。劇評家たちは「段田の演技には、セリフの行間から人間の本質的な恐ろしさが滲み出ている」と絶賛する。派手な演出に頼らず、役者の身体と声だけで空間を構築するその姿は、まさに演劇の原点にして頂点と言えるだろう。