WebメディアやSNS、各種レビューサイトにおける更科そばの評判を定点観測すると、評価が極めて二極化している現象が確認できます。現場で寄せられるリアルな声と、蕎麦ファンの心理構造を検証しました。
好意的な口コミで圧倒的多数を占めるのは、「信じられないほどの清涼感」「喉を滑り落ちていく快感」に対する賛辞です。「食欲のない真夏でも、更科のざる蕎麦なら喉を通る」「噛んだ瞬間に広がるお米のような上品な甘みは唯一無二」「変わり蕎麦の美しさは食べる芸術品」といった声が目立ちます。特に日本酒を嗜みながら蕎麦前(酒の肴)を楽しみ、締めとして軽やかに手繰る大人の層から絶大な支持を集めています。
一方で、低評価を下すユーザーの意見を見ると、一定のパターンが存在します。「蕎麦特有のあの強い香りがない」「色も風味もそうめんや冷麦と変わらない気がして割高に感じる」「太くて黒い十割蕎麦を期待して行ったら期待外れだった」という声です。
このギャップの原因は、「蕎麦の価値=甘皮由来の強い穀物臭」という先入観にあります。黒い田舎蕎麦のワイルドな野趣を蕎麦の正解と位置づけている人にとって、雑味や強い香りを極限まで削ぎ落とした更科そばは、一見すると物足りなく映ってしまうのです。しかし、これは優劣の差ではなく、白米と玄米の違いに似たアプローチの違いといえます。更科そばの真価は、力強い香りではなく、デンプンが持つほのかな甘みと、唇を滑る摩擦係数の極めて低いテクスチャーにこそ存在します。