この「老来廃馬」という言葉は、単に「年をとれば使い物にならなくなる」という絶望を説いているわけではありません。古典が提示するもう一つの視点として有名なのが、『韓非子』に記された「老馬の智(老いた馬は道に迷わない=経験の価値)」という故事です。
体力や瞬発力という「馬力」の面では確かに廃馬となるかもしれませんが、長年の経験によって培われた知恵や大局観は、若い世代にはない貴重な資産です。定年延長やセカンドキャリアの構築が当たり前となった現代において、「老来廃馬」という言葉は、「過去の肩書や体力に固執せず、経験を活かした新たな価値を見出せ」という逆説的な人生の教訓として受け取ることができます。
かつての働き方にとらわれず、知恵の継承者としてコミュニティや次世代に貢献する道を探ることこそが、真の意味で「廃馬」に甘んじない成熟した生き方と言えるでしょう。