『和風総本家』の最大の功績は、普段スポットライトが当たることの少ない日本全国の町工場や伝統工芸の工房に光を当てたことにあります。小さな村の鍛冶屋が作る包丁、東京の下町で削り出される精密ネジ、京都の西陣織を支える図案家など、番組で紹介された職人たちは放送後、どのような道を歩んでいるのでしょうか。
放送当時、番組で取り上げられた工房には国内外から注文が殺到し、「数年待ち」の人気商品が多数生まれました。しかし、それ以上に大きかったのは「若手後継者の応募が増えた」という社会的インパクトです。放送を見て「日本にはこんなに格好いい仕事があるのか」と感銘を受け、実際に弟子入りを志願して今や工房の主力として活躍している若者が各地に存在します。
もちろん、原材料の高騰や後継者難によって惜しまれつつ暖簾を下ろした工房もあります。しかし、番組が記録した数々の手仕事の映像は、失われゆく日本のモノづくりの遺伝子をデジタルアーカイブとして後世に残すという、極めて価値ある社会的役割を果たしました。