佐藤二朗の映画傑作選!怪演とシリアス演技の神髄を徹底解剖

佐藤二朗の映画傑作選!怪演とシリアス演技の神髄を徹底解剖

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俳優としてのみならず、クリエイターとしての力量を証明したのが、映画『はるヲうるひと』の監督・脚本ワークです。原作となったのは、彼が主宰する演劇ユニット「ちからわざ」で2009年に初演された舞台劇でした。約10年以上の歳月をかけて映画化へと結びつけたこの作品には、佐藤二朗という男が抱え続けてきた「生きることの不条理」への問いが充満しています。

本作で描かれるのは、閉ざされた島で売春宿を営む三兄妹の泥沼の愛憎劇です。佐藤二朗自身が演じた長男・哲雄は、暴力と恫喝で弟や妹を精神的に支配する絶対的な加害者。山田孝之演じる次男・得太や、坂井真紀演じる長女・いぶきを追い詰めていく姿には、普段のおどけた笑顔のかけらもありません。

現場を目撃した映画関係者の証言によると、監督席での佐藤二朗は役者たちに対して極限の集中力を求め、テイクを重ねながら魂の叫びを引き出していったといいます。「人はなぜ生きるのか、どうしようもない絶望の中でどうやって笑えばいいのか」。その根源的な問いを映画という媒体に叩きつけた『はるヲうるひと』は、彼が単なる「面白いおじさん」ではなく、痛烈な作家性を宿した表現者であることを決定づけました。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。