読者に最初の衝撃を与えたのが、彼がかもめ学園七不思議一番「三人の時計守」の「現在」を司る番人その人であったという事実です。「三人の時計守」は、過去を戻す老人(カコ)、現在を止める少年(茜)、未来を進める少女(ミライ)の3者で構成されており、茜はその中心人物として学園内の時間をコントロールしています。
人間である茜がなぜ怪異となったのか。その原点には、小学校時代に遡る赤根葵との過去と過酷な契約理由が存在します。赤根葵の家系は、古くから怪異を鎮めるための「神代の巫女(生贄)」の血を引いており、生まれながらに短命で怪異に狙われやすい過酷な運命を背負っていました。葵が直面する理不尽な死の運命を知った茜は、彼女をあらゆる怪異の脅威から守り抜くため、幼くして自らの人生を差し出し、時計守と契約を交わしたのです。
時計守としての力を得る条件は極めて重く、「かもめ学園に在籍する間、時計守として働くこと」「正体を周囲に知られないこと」などが課されています。怪異を毛嫌いしながらも自ら怪異の力を振るうという矛盾は、すべて葵の生存を唯一の行動規範としているがゆえの悲壮な決断でした。