なぜ高山組はこれほどまでに強固な権力を握り、そして今、急速な時代の変化に直面しているのか。この現象は、日本の組織社会学および法執行の歴史における重要な教訓を提示しています。
昭和から平成にかけて、高山組および弘道会が急速に台頭できた理由は、「徹底した情報統制(完全黙秘)」「経済活動の合理化」「上意下達の軍隊的ピラミッド組織」という、近代企業組織にも通じる徹底した合理化モデルを裏社会に持ち込んだ点にありました。従来の親分子分の情緒的関係に依存せず、結果と規律を最優先するシステムが圧倒的な戦闘力と資金力を生み出したのです。
しかし、法治国家の枠組みが成熟し、「組織そのものの存立を許さない」包括的な暴排法制が完成した現代においては、どれほど組織内の規律が強固であっても、社会システムからの完全な孤立を免れることはできません。組織を強大化させた合理主義そのものが、社会全体のコンプライアンス包囲網の前に無力化していくプロセスは、反社会的集団が辿る必然の帰結といえます。