顕正会の名前が一般に広く知られる最大の要因は、その極めて強引な勧誘手口にあります。日本各地のファミリーレストラン、カフェ、ファストフード店などで日常的に繰り広げられる勧誘劇には、明確なパターンと心理的誘導の構造が存在します。
現場で最も頻発しているのは、宗教の勧誘であることを完全に伏せて呼び出す「ブラインド勧誘」です。被害者や脱会者の証言、ネット上の告発データを精査すると、以下の典型的なプロセスが浮かび上がってきます。
第一段階:無警戒な接触とアポイントメント
かつての同級生や元同僚から「久しぶりにご飯でも食べない?」「おすすめのカフェがある」と連絡が入るケースが大半です。近年ではマッチングアプリ、街コン、趣味のオフ会、あるいはTwitter(現X)やInstagramのダイレクトメッセージを通じて親しくなり、2〜3回会って信頼関係を築いた段階で呼び出される手口が主流化しています。
第二段階:ファミレスでの「2対1」包囲網
約束のファミレスに赴くと、最初は世間話から始まります。しかし、途中で「尊敬している先輩が近くにいるから呼んでいい?」などと言われ、見知らぬ第三者(通常は組織の幹部や勧誘スキルの高いベテラン会員)が合流します。ここから突如として空気が一変し、新聞の切り抜きや機関紙『顕正新聞』、浅井昭衛氏の著書を取り出し、「日本は近いうちに他国から攻め込まれる」「大地震や富士山噴火で滅びる」「この仏法を信じなければ救われない」といった終末論を滔々と説き始めます。
第三段階:会館への連れ出しと退路の遮断
話がひと段落すると、「とにかく一度、会館に行ってお経をあげるだけでいい」「名前を書くだけで功徳があるから」と強く促されます。店を出て車に乗せられ、最寄りの顕正会館へと連れて行かれるのが典型的なパターンです。会館内では「入信勤行(にゅうしんごんぎょう)」と呼ばれる儀式を強要され、数珠を持たされて正座させられます。恐怖心や同調圧力から、その場を収めるために住所や氏名を記入してしまう被害者が後を絶ちません。
この手口の悪質性は、相手が逃げにくい環境(車内や密室、複数人による取り囲み)を意図的に作り出す点にあります。ファミレスの店舗側も無断勧誘や長時間居座りには神経を尖らせており、主要チェーンでは「店内での宗教・マルチ商法等の勧誘行為は固くお断りします。発見次第、警察に通報します」という警告ステッカーを掲示する店舗が急増しています。