かつての若者たちにとって、恋愛のステップは目に見えない「段位」のような存在だった。ラジオの深夜番組やティーン向け雑誌で当たり前のように飛び交っていたこの隠語は、照れくささを覆い隠しながら友人同士で進捗を報告し合うための便利なツールとして重宝されていたのだ。
当時は、A(キス)を交わしてからB(ボディタッチ)へ進み、最終的にC(関係の成就)へと向かう一本道のシナリオが世間の固定観念として存在していた。順番を飛ばせば「焦りすぎ」とされ、慎重すぎると「奥手」と揶揄された時代。恋愛のロードマップが社会全体で共有されていた、今思えば不思議な時代だ。