ヘビの頭部は人間の肩幅よりもはるかに小さいにもかかわらず、どのようにして成人を丸ごと飲み込むことができるのでしょうか。アミメニシキヘビの人食いの真相を探る鍵は、爬虫類特有の骨格構造と獲物の捕食戦略にあります。
ヘビの下顎は左右が靭帯で柔軟につながっており、頭蓋骨とも可動性の高い関節で結合しています。これにより、自身の頭部の数倍以上、人間で言えば肩幅(40〜50cm前後)に達する幅まで口を大きく広げることが可能です。加えて、皮膚や胃袋は驚異的な伸縮性を持ち、獲物を頭部から順に飲み込むことで、数時間かけて胃の中へと送り込みます。
では、なぜ巨大ヘビが人間を捕食する理由が生じるのでしょうか。生物学的な調査によると、ヘビ側に「人間を優先して狙う」という特定の嗜好があるわけではありません。アミメニシキヘビは完全な待ち伏せ型の捕食者であり、視覚よりも熱を感知するピット器官や嗅覚(ヤコブソン器官)に頼って獲物を察知します。獲物のサイズが「自身のエネルギー効率に見合う大型哺乳類(シカ、イノシシ、サル、家畜など)」であれば、生体熱を発する動く物体に対して反射的に襲いかかる習性を持っています。熱帯雨林の奥深くや農園の茂みにおいて、暗闇の中でかがんで農作業をしていたり、地面に横たわって休息していたりする人間は、大型の野生哺乳類と区別がつかずにターゲットとなってしまうのです。