映画を観た観客の間で常に巻き起こるのが、「あの濡れ場は本当に本人が演じているのか、それとも代役(ボディダブル)なのか」という議論です。ハリウッドにおいてボディダブルの起用は極めて一般的であり、決して恥ずべきことでも隠すべきことでもありません。
ボディダブルが起用される理由は主に3つあります。
第一に、「本人の契約上の制約」です。出演契約書において露出可能な部位や角度が厳密に定められている場合、規定外のカットにはプロのパーツモデルやスタンドインが起用されます。『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のダコタ・ジョンソンも、一部の過激なシーンでは代役を活用したことを公に明かしています。
第二に、「スケジュールや肉体的負担の軽減」です。大規模な長編撮影において、メインキャストの体力を温存しつつ、照明合わせや部分的なインサートカットを効率的に撮影するために代役が不可欠となります。
第三に、「最新のCGI合成技術」です。『ゲーム・オブ・スローンズ』でレナ・ヘディ演じるサーセイが晒し者となる有名なシーンでは、代役の肉体にレナ・ヘディの表情をデジタル合成する高度な手法が用いられました。現在では、首から上の繊細な表情演技と首から下の肉体美を別々のプロフェッショナルが担当し、ひとつの完璧な映像を創り上げることが技術的にも確立されています。ネット上の「吹き替え疑惑」の多くは、こうしたプロフェッショナリズムの分業が生み出した成果と言えます。