原子核が持つエネルギーを取り出すアプローチにおいて、核分裂と核融合は「正反対のプロセス」をたどります。
現在稼働している一般的な原子力発電所が採用しているのは核分裂です。これは、ウラン235やプルトニウムといった質量の大きな原子核に中性子を衝突させ、2つの軽い原子核に分裂させる現象を利用しています。ウランが分裂する際、わずかに軽くなった質量が莫大な熱エネルギーへと変換され、同時に新たな中性子が放出されます。この中性子が別のウランに衝突することで核分裂の連鎖反応が継続し、安定した熱源として発電用タービンを回します。
対する核融合は、太陽が46億年にわたって輝き続けている原理そのものであり、「人工太陽」と呼ばれる所以です。質量の軽い水素の同位体(重水素と三重水素=トリチウム)同士を、1億度以上の超高温・超高圧環境下で衝突させて融合させ、ヘリウム原子核へと変化させます。この合体の瞬間に生じる質量欠損から、極めて膨大なエネルギーが解放されます。
重さあたりの発生エネルギー量を比較すると、核融合は核分裂の約4倍、石油や石炭などの化石燃料を燃焼させる化学反応と比較すれば約数千万倍に達します。ごくわずかな燃料から圧倒的な出力を得られる点が、次世代技術として期待を集める最大の理由です。