政治報道におけるクレムリンは、行政機構の総称として用いられる。ここで重要なのは、実務を担うロシア連邦政府と、国家元首の直属機関であるロシア連邦大統領府の二重構造だ。
体制の頂点に立つウラジーミル・プーチン大統領の意向は、大統領府を通じて安全保障会議や各省庁へと即座に伝達される。閣僚が詰める内閣庁舎(ホワイトハウス)が行政実務を担当するのに対し、主要な外交方針や軍事戦略の意思決定はすべてクレムリンの敷地内で行われる。意志の決定過程が外部から見えにくい「ブラックボックス」と形容される理由も、この集中した権力構造にある。