孤高の仮面ライダーに対し、なぜ「5人のチーム」だったのか。その発端は、漫画界の巨匠である石ノ森章太郎の鋭い洞察にあった。1970年代中盤、変身ヒーロー番組が乱立する中で、単独ヒーローのアクションには表現上の限界が見え始めていた。そこで東映株式会社と株式会社テレビ朝日は、チームワークと役割分担によってドラマの幅を無限に広げる新機軸を模索した。
こうして生み出された『秘密戦隊ゴレンジャー』は、熱血漢の赤、ニヒルな青、カレー好きの力持ちの黄、可憐な桃、最年少の緑という、キャラクター造形の決定的な雛形を確立する。この鮮やかなコントラストこそが、子供たちに「誰か一人に感情移入できる余白」を与えた。
ゴレンジャー以降、原作クレジットとして定着した「八手三郎(やつで さぶろう)」は、東映映像本部のプロデューサー陣による共同ペンネームである。個人の作家性に依存せず、集団クリエイティブ体制を敷いたことで、シリーズはマンネリに陥ることなく、時代のトレンドを素早く吸収する柔軟性を手に入れた。