弟切草(オトギリソウ)の花言葉として広く知られる「怨み」「秘密」「敵意」「復讐」。これほど直接的な悪意を宿した言葉が割り当てられた理由は、平安時代の寛平年間(889〜898年)に遡る有名な伝承にあります。
当時、名高い鷹匠であった晴頼(はるより)という男は、鷹が狩りで負った傷をたちどころに治す特効薬の調合法を持っていました。この秘薬の原材料こそがオトギリソウだったと伝えられています。晴頼はこの薬草の名を門外不出の家伝として決して他人に明かしませんでした。
ところが、晴頼の実の弟がその秘密を懇意にしていた隣家の鷹匠へ漏らしてしまいます。長年守り続けてきた秘伝を裏切られたことを知った兄・晴頼は激怒し、弟を刀で切り殺してしまいました。この凄惨な事件から、その草は「弟切草(弟を斬った草)」と呼ばれるようになり、殺された弟の無念と漏洩した秘薬の背景から「怨み」「秘密」という花言葉が定着したのです。