逆流性食道炎の症状が最も悪化しやすいのが就寝時です。就寝中は重力による胃酸逆流の防止効果が働かず、唾液の分泌量も激減して酸を洗い流せないためです。
夜間の呑酸への対処法として、医学的に確立されているのが「左側臥位(左を下にして寝る姿勢)」です。人間の胃は左側に大きく膨らんでいる(胃底)ため、左側を下にして横たわると、胃の形状的に胃酸が食道との接合部より低い位置に溜まり、逆流の物理的リスクを大幅に低減できます。さらに、上半身全体を緩やかな傾斜枕などで10〜15度程度高くする寝姿勢を組み合わせることで、夜間の胸焼け発作を劇的に防ぐことが可能です。
日々の食事療法が推奨される理由は、胃内圧の上昇と胃酸の過剰分泌を直接コントロールするためです。高脂肪食、カフェイン、柑橘類、アルコールは食道括約筋を弛緩させる作用があります。夕食は就寝の3時間前までに済ませることが基本戦略となります。
加えて、体質改善を狙う東洋医学的アプローチとして漢方薬の評判も定着しています。ストレスで胃痛や呑酸が出るタイプには「四逆散(しぎゃくさん)」や「柴胡疏肝湯(さいこそかんとう)」、みぞおちがつかえてゲップが多いタイプには「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」、冷えと胃もたれを伴う場合には「六君子湯(りっくんしとう)」が処方され、ツボ押しとの併用で高い相乗効果を発揮します。