渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の肖像が躍る新紙幣が発行されてから2年。最新の3Dホログラムや超精細な凹版印刷が施された紙幣は、偽造防止スペックにおいて世界最高峰を誇る。しかし、現場の金庫や窓口で偽札や損傷札の異常を最初に察知するのは、実は高性能センサーだけではない。
「新紙幣特有のインクの凹凸や用紙の質感を毎日手に触れていると、違和感のある1枚が混ざった瞬間、指先が勝手に止まるんです」。都内メガバンクのベテランテラーはそう明かす。機械が読み取りエラーを起こした際、最終的な判定を下すのは常に人間の五感だ。2026年の現在も、札勘技術は単なる枚数チェックを超えた「セキュリティの砦」として機能している。